今回は就職活動を進めていく上で、必ずどこかで求められるであろうエントリーシート(以下、ES)の提出に焦点を当てて記事にしてみたいと思う。採用担当がどのようなポイントを見ているかも含めて要点をまとめているので、是非参考にしてほしい。
Step1:設問の目的を捉える
まずは、設問の目的をきちんと捉えることを常に意識しよう。仕事をする上でもとても大切なことであるが、相手が何を訊きたいのか、何を知りたいのか、その上で何をするのかとう感じで相手のニーズを捉えることができる人は仕事でも結果を出すことができる。ESも同じで相手が何を知りたいのかを考えることが大切だ。以下を参考にしてみてほしい。
設問例 | 設問で確認したいこと(目的)の例 |
大学生活において一番力を入れて取り組んだ活動とそこから得た学びを教えてください。 | 自由度の高い大学生活の中で、何かに熱を入れて活動した経験があるかどうか。また行動しただけではなく、その経験値を自分の成長に変えることができる人物かどうか。 |
これまで経験した挫折とどのようにその状況を乗り越えたのか教えてくだい。 | 挫折するほど何かに一生懸命取り組んだ経験があるか(物事に懸命に向き合えるか)、また困難な状況を打破するための思考力と行動力を備えているかどうか。 |
もし当社に入社した場合、どんなことに挑戦してみたいですか?理由を踏まえて教えてください。 | 個人の希望やキャリアビジョンと組織の親和性を確認することで、組織の中で中長期的に活躍できる人材かどうか。 |
面接は志願者にとって自分自身のことをアピールする場であるが、好きなことばかり話して良い場ではない。ESをきっかけにして企業側も確認したいことがあるはずなので、設問の目的をきちんと捉えて言語化をしていくことを意識しよう。
Step2:文章構成を考える
ESの設問の目的を考えることができたら、伝えたい内容を文章にしていこう。ESのメイン設問は300字〜400字以内の文字数制限がかけられることが多いので、その中で自分を表現する必要がある。まずは上限文字数に対して8割以上は埋めることを意識してほしい。文字を埋めることが目的になってはいけないし、文字数が少なくとも伝われば良いことは理解できるのだが、採用担当も多くのESの中から面接に案内する学生を必死に検討している中で、字数が少ないとマイナスの評価になってしまいがちだ。その点を理解した上で、一番重要なことは全体の論理構成を大切にすることだ。ESにおける論理構成を意識する際、まずはPREP法(Point → Reason → Example → Point)を実践してみると良いだろう。
- 結論(Point):私は○○な強みがあります
- 理由(Reason):○○が強みだと思う理由は〜だからです
- 具体例(Example):実際に△△の経験を通じて…
- まとめ(Point):この強みを活かして私は貴社のフィールドで…したいと考えています
王道の文章構成にはなるが、読み手は相手が何を伝えたいのか捉え易い。その上で自分の想いの部分を使用する単語であったり、表現に散りばめていくことで自分らしいESになるだろう。全体的な構成を捉えた上で、次のステップである「言語化」に進んでみてほしい。
Step3:言語化する
全体的な文章構成を考えることができたら、次は実際に言語化しよう。言語化する際、注意してほしいのがビッグワードを極力使用しないことだ。ビッグワードとは抽象的かつ多くの解釈ができる言葉のことである。少し例を挙げてみよう。
表現A:私の強みはコミュニケーション力です。
表現B:私の強みは初対面の方とすぐに打ち解けることができる関係性構築力です。
相手の理解を促進できる表現はどちらだろうか。答えはもちろん表現Bである。「コミュニケーション力」という言葉はとても使い易いのだが、紐解いていくとさまざまな分類ができると思う。例えば、例に書いたような関係性構築力や、意思疎通力(相手に正しい理解を促す力)、交渉力などである。ビッグワードを多用し過ぎていると何を言いたいのか読み手が理解できなくなってくるので、自分が伝えたい内容を的確な表現でまとめるように心がけよう。
また言語化の際にChatGPTに代表される生成AIを必要な場面で活用することも検討してみてほしいが、まずは自分の頭で考えてみることが重要だと考えている。なぜなら、言語化のスキルは社会人以降も必ず使う汎用的なスキルだからである。業務内におけるコミュニケーション全般、自身が作成するアウトプット(企画書や提案書など)全般、至る所で必要になる能力だ。言語化のスキルは自分で言語化を繰り返すことでしか鍛えようがない。話が少し逸れるが、加齢による身体機能の低下は避けられない一方で、言語能力は比較的保たれる傾向がある。研究によると、70歳頃までは大きな変化がなく、その後徐々に低下するという。つまり、言語化は人生において長く付き合える能力の一つでもある。従って、まずは自分の頭を使って言葉にすることを実践し、表現を工夫したいときに知恵を借りたり、最終的な誤字脱字のチェックの際に生成AIを活用することをオススメする。ESの内容はある程度使い回せる(設問の内容が似通っている)ケースも多いため、まずは自分で言語化をしてみよう。Step2〜Step3を納得がいくまで繰り返す(推敲する)ことで、表現が洗練されるだけでなく、自分の伝えたい内容の解像度が上がり、面接の際も上手く言葉にできるようになるだろう。
Step4:最終確認(誤字脱字や論理破綻がないか確認する)
Step3までで自分の納得がいく内容を書き上げたら必ず最終チェックをしよう。この最終確認時は生成AIの活用を強くオススメする。ぎこちない表現や重複している表現などをより洗練した内容に修正してくれることに加え、自分の文章に対するフィードバックとしても機能する。また、時間があれば友人や家族に読んでもらうことも実施してほしい。最終的に生身の人間がどう感じたか、どう受け取ったかが重要になるからだ。せっかく頑張って書き上げた自分自身を投影する文章なので、画竜点睛を欠くことが無いように仕上げてほしい。
ここで、誤字脱字等を見つけた時の採用担当の純粋な気持ちも述べたいと思う。
・あんまりうち(当社)の志望度高くないのかな、、、(志望度高けりゃしっかり確認するよね)
・生成AIとか使えば誤字脱字は防げるのに、、、(ITリテラシーとか大丈夫かな)
・社会人になっても重要な場面でミスしそう、、、
大凡こんな感じだと思う。あとこれは採用担当個々人によって異なるのだが、誤字脱字対してある程度寛容な人もいれば、かなり厳しい人もいる。どちらにせよプラスに働くことは100%ないので、最後まで気を抜かず書き上げよう。(とか偉そうに言いつつ、仕事終わりで日を跨ぐ時間に書いたこの記事にも誤字脱字がある気がする。見つけたらご指摘いただきたい。。。)
今回は採用担当の視点からエントリーシート(ES)の書き方や注意点についてまとめてみた。就活生の一助になれば嬉しく思う。
本記事をご拝読いただきありがとうございました。